前置き
看護師になるためには、単位を取るための課題、レポート、テスト等のさまざまな壁があります!
中でも最も重要なのが”実習”です、、、
世間のみなさんも看護学生の実習は大変だという話を聞いたり、
しんどそうなイメージがあるかな〜と思いますがいかがでしょう、、、?
(私が勝手に思い込んでいるだけ、、、?)
そんなつらいイメージのある実習を私も長らく体験したわけです。
今回は、そんな実習の中でもうれしかった出来事についてお話ししていこうと思います。
(え、、あるんだ?って思いました?少しだけありました、、。)
実習
実習では、種類(母性、小児、老年、成人…等)にもよりますが、だいたい2〜3週間くらい同じ病棟に行きます。
そこで、受け持ち患者さんを1人決めていただいて、実習期間はその方について情報を得て状態を把握して関わっていくことになります。
もしかすると、世間一般的の方々が看護の実習でイメージするのは、採血や点滴などの注射業務が多いかもしれません。
ですが、学生はまだ国家資格を持っていないのでそういった侵襲を伴うような処置やケアを患者さんに行うことはできません。(看護学校で学生が採血を練習し合うのも昔の話です)
実際に、実習で行う技術というと、清潔ケア(清拭・陰部洗浄など)や食事介助、車椅子への移動の介助等です。
そういった技術を患者さんに合わせてどのように安全に行うか、学生は夜な夜な手順書などの記録物を作りつつ実践していきます。
ですが、そういった技術面での内容よりもさらに重要なことがあります。
それは、患者さんとのコミュニケーションです。
(どんなお仕事でもコミュニケーションは大切ですけどね!)
一番大切なこと
看護師は患者さんをあらゆる面から把握し理解する必要があります。
そのためにはまず大前提として、経歴や病気や治療の経過、検査データなどカルテからわかる情報や、
患者さんを直接観察することでわかる情報が必要です。
そして、それらと同様に大切なのが、コミュニケーションを取ることでわかる情報です。
(例:症状や身体の状態について、気持ちに関すること、家族の事や住まいの情報、、、等)
そういった全ての情報から患者様を全人的に看るため、アセスメントを行います。
(患者さんがどういう状態なのか推測したり解釈したりする)
そして、看護問題を挙げて、それに対して実際に何を観察するのか、どんなケアをするのか、看護計画をたてて関わっていきます。看護学生がよく実習で記録に追われているのは、このあたりの情報の整理とアセスメント等にかなり時間がかかるからです。
(社会に出て正しい言葉を当てはめるならサービス残業です。大切なことなのでもう一度言います。サービス残業です)
よって、患者さんとコミュニケーションをとっていくことが大切なのです。
しかし、ただ情報を得るためにお話すればいいというわけではありません。
なによりも、コミュニケーションを通して患者さん ー 看護師間で信頼関係を築くということが求められるのです。
先ほど説明したような情報を得るには信頼関係が必要です。
たとえ医療従事者だったとしても、心の内や家の事など信頼できていない相手には話す気にならないです。
そして、ただの信頼関係ではなく、療養生活を送るにあたって必要な信頼関係が求められます。
患者さんは医療従事者として私たち(看護師や看護学生など含め)を信頼していないと、
処置やケアに不安や不快に感じてしまう可能性があります。
信頼できる医療従事者が近くにいることは、患者さんにとって安心や心の支えになりうるのです。
そのため、実際の患者さんとの関わりを通して、信頼関係を得つつコミュニケーションの取り方を学ぶのです。
(深い、、深いけど大変すぎる、、ベテラン看護さんも患者さんとうまくやれていない時とかあるのに、、、!)
学校でもコミュニケーション方法は軽く講義で触れていたり、デモンストレーションがあったりもしました。
ですが、実習でいざ初めて患者さんを目にすると、どのように接したらいいのかわからなくなります。
(練習通り行かないことだらけなのです、、)
実際のエピソード
実際に、私も1番最初の実習で初めて関わった患者さんから「もう早く死にたい」と言われ、
なんと返したらいいのかわからなかった経験があります。
そんな初期の実習からしばらくたち、高学年の実習のときに、今でも忘れられない思い出があります。
それは2週間の実習で、受け持った患者さんは脳梗塞で入院し、退院のためにリハビリを頑張っている方でした。
お話をするのも好きな方で、実習開始後すぐにこれまでの人生の話や目標、生きがいについてなどたくさん話してくれていました。
そんな中、2週目の後半に、自ら悩んでいることやつらい気持ちを吐き出してくれた場面がありました。
その内容は奥さんの認知症が悪化してきていて、自分が面倒をみて支えなくてはいけないのに、
こんな時に入院してしまったというものでした。
早く退院しなければいけないのに思うようにいかないと、やるせない気持ちを伝えてくれたのです。
たまに落ち込む様子はありつつも、いつも前向きに入院生活を送っている方だったので、その時少し驚いた記憶があります。
ですが、患者さん自身の中で目標や生きがい以外にも、
これまでの人生背景を含めた様々な葛藤があったことがわかりました。
当たり前の話ではありますが、人と人が関わる上で表面的にみえていることが全てではないですよね。
実習期間中、毎日毎日コミュニケーションをとって、患者さんを少しずつ理解してきたつもりだった分、
そこでハッとさせられたような気持ちでした。
ですが、その思いを伝えてくださった際に患者さんが私にこう言ったのです。
「でも、この2週間はあなたがいたから前向きに頑張ることができました。ありがとう。」と。
(泣いちゃう!!いや泣いちゃっていたかもしれない!!笑)
この言葉をいただいたとき、今まで実習してきて初めて、
自分の関わりが患者さんにとって少しでもプラスになっているということを実感することができました。
記録や勉強での寝不足や毎日の看護師の指導によるストレスで、疲労ピークだった私の心を救ってくれたような言葉でした。
「そんなに簡単に患者さんを理解できるわけじゃなかったんだ」という反省と、「学生の自分が患者さんの心の支えになれたのかもしれない」という2つの気持ちで、その時なんと言葉を返したのかわからないほど感無量な気持ちになったのを覚えています。
終わりに
『実習中一番嬉しかったことって何?』と聞かれた際に、
学生時代に受け持った忘れられない患者さんがいるというのは、看護師あるあるなのではないでしょうか!
実習先の指導の看護師から、「学生さんだからこそゆっくりと1人の患者さんに関われるから、私たちが知らないような情報を教えてくれたり、患者さんにいい影響与えたりするんだよ」と何度か言われたことがあります。
本当にその通りで、実際に看護師になってからは目まぐるしく業務に追われていて、
少なくとも新人の私には患者さんと実習の頃みたいにゆっくり関わる余裕がありませんでした。
(反省、、、でも物理的に厳しかったのです、、)
そんな私は、多くの看護学生の子たちが実習を楽しかったと言って、看護師になってくれたら嬉しいなと思います。
日々走り回る看護師さんも、頑張って勉強している学生さんも陰ながら応援しております。
※こちらの記事は国公立大学看護学部の経験をベースとしています。
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